三郷の家

 街中の公園を目の前に望む敷地。この家の立地条件です。

春には満開のサクラを借景とすることが出来るこの開けた視界を、一番美味しく味わえる方法で暮らしに取り入れることをクライ
アントは望んでいました。「道路からの視線を気にしないよう2FにLDKをおき、公園を望む大きな窓にはバルコニーを設ける。
でもこのバルコニーには、洗濯物を干したくない。洗濯物は道路から見えないところに干すようにしたい。」これが初めてお話を
伺ったときに私に伝えられた要望です。加えていわゆる北欧スタイルの明るく楽しそうなテイストでまとめたいというご希望もい
ただきました。

実際には、南北に細長く、隣家がご実家という状況。これに季節と時間で移り変わる陽射しと建物の中を通り抜ける風に呼応する
プログラムを練りこんで、およそ35坪の間取りを私なりに解き明かし、ご提示を差し上げました。するとその場で「これを作りま
しょう!」という評価をクライアントからいただきました。最初にご呈示さし上げたプランを喜んでいただけることは数あれど、
その後数回の変遷を経て基本設計が完了することが殆どですから、私の方がいささか戸惑ってしまいました。

それからほぼ1年が経った4月、桜が満開になった頃に竣工したことも、また印象に残る家です。

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オープンなキッチンを設えたLDK。明るめのインテリアの壁の一面を植物的なグリーンを差し込んでみました。天井は3段階の
高さでリズム感を付け、掃き出し窓の外側には石張りのバルコニー、そしてその向こうに公園です。出窓は、座っているときの目
線にちょうど良い高さになるように設えています。
家具が入り、生活をしてみれば、何の違和感もない出窓の高さですが、図面でみると、とても低い位置にあると不安を感じさせま
す。空間を作るために描く図面ですが、じつは、目に映る正確な実感を伝えることができません。私の提案を信じてくださったク
ライアントとの2人3脚で家づくりは進みます。

 

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左のパースは、最初に差し上げた
提案の中に盛り込んだもの。その
上の完成写真ができあがったLD
K。             
キッチンのカウンターは、手元を
隠すように対面側を少し高くしよ
うか迷いましたが、最後はスッキ
リとフラットに。その思い切りの
よさが、より一層の広がりを演出
しています。         

 

 

 

 

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竣工間際に迎えたサクラの季節。           
自宅に居てサクラを味わえるというのは、日本人にとって
やはり「贅沢」。思わず鼻歌が出そうな気分になるのはな
ぜでしょう。                    

 

 

 

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模型で見てみると、南北に長い建物の真ん中あたりにくび 
れているところがあります。じつはここが建物の要になの 
です。まず、上下階を結ぶ階段があります。それに加え、 
隣りの実家との行き来、道路から死角となる物干場、暗く 
なりがちな廊下への採光など。多くの役目を担っています。

実際に中に入ってみると、左のパースのようになっていて、
実家との行き来する勝手口の上部は吹抜です。すると、2 
Fに居る人と顔を見ながら言葉を交わすことが簡単に出来 
るという仕組み。この吹抜けは、洗濯物の室内干しとして 
も活躍します。                    

左のパースは、最初の提案時のもので、スタディルームの 
入口や、吹抜の手摺形状が少し変更となりました。それが 
下の写真。                      

 

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勝手口から見上げた吹抜      
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吹抜の手摺は、鍛冶屋さんに頼んだ特注品

スタディルームへの入口は、最終的に寝室に
移動しました。

 

 

 

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上の写真は、ベビーゲート。             

竣工から4年。ご夫妻に待望のお子様が誕生しました。2
Fにリビングがありますから、歩き始めた子供が階段から
落っこちてしまわないようベビーゲートを付けようとした
ものの、どうも市販品で要望を満たす品を見つけられなか
ったとのことで、ご相談をいただきました。そうして出来
上がったのが、このベビーゲート。コダイラリノベで作っ
たの給湯器カバーの応用です。            

その階段につけた手摺も吹抜同様に鍛冶屋の手による特注
品。ちょっと値は張りますが、だからこそ出来るシンプル
な意匠。既製品の材料を組み合せるだけでは、この雰囲気
を醸し出すことは、なかなか出来ません。       

 

 

 

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玄関です。プラン上、左側の壁の向こう側はカーポート。くびれ部分にある階段のところまで、やや長めの廊下が
続きます。少し暗めの廊下ですが、階段のあるくびれ部分は吹抜から射込む光のおかげで明るく、まるでこの家を
訪れた人を「こっちにおいで。」と導いるようです。

 

 

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          竣工:2009年              
          延床面積:123.43m2 木造(SE構法)2階
          設計:田村貴彦
          施工:株式会社 参創ハウテック
          撮影:工藤朋子/田村貴彦       

 

 

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