久喜のコートハウス

こんなに伸び伸びと「ロの字」のプランを描ける機会には滅多に巡りあうことはありません、しかも平屋。出来上がったのは、ミニマルでスタイリッシュな家でした。

都心の狭小地では、プライベートな屋外を持込むことで独特の広がり感を獲得するのが「ロの字」プランの特徴です。しかし、限られた広さで庭を敷地の中心に配するがゆえに、庭の周囲を薄皮のように取り巻く室内の使い勝手が悩ましい部分であることもまた事実。ところが広さ80坪という敷地は、最初からそんな問題に足を取られることもなく、設計者に存分に「ロの字」プランを描かせることになりました。

中庭に繁るシンボルツリーと、それぞれの時間を過ごしている家族の様子を、いつも視界のどこかに置く生活は、思いの外新鮮な感覚を与えてくれます。訪れると「あ、いいね。」というひと言が、口をついて出てくるのです。

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もうひとつのトピックスは、設計者。

この家の基本設計を起こしたのは、住まい手自身。じつはプロの設計士です。そこにカサボンの経験と知恵を掛け合わせました。はじめてお会いしたときに、既に1年以上に渡って計画を練り続けてきた住まい手の思いが、スケッチや模型、更にはディテールとなって私の前に並べられました。ここに載せたスケッチはすべて住まい手によるものです。

やはりプロが持込むネタは、それなりのパワーでこちらの気持ちを揺さぶってきます。「この家づくりで自分の役割は何だろうか?」こちらもプロとして、いつもとは違う姿勢で応えました。

 

 

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  建物の北側にあることで、南の陽射しを受ける  
  リビングとダイニング。天井には、更なる採光  
  と通風を考慮したハイサイドライトを設けます。 
  暮らしの中に心地よさを演出するための仕掛け
  です。

 

 

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  窓を開放して、そのリビングから中庭を眺める  
  と、左手にスタディルーム、右手に和室。それ  
  ぞれの時間を過ごす家族が、お互いに声を掛け  
  合わずとも、ちゃんと居るということがわかり  
  ます。 
  当たり前のようですが、目の当たりにすると、
  案外新鮮な体験です。

 

 

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     気持よく開放するためには、やはりしっかりとプライベー
     トが確保されていることが肝心です。中庭を通して近隣の
     2Fの窓と目が合わないよう慎重に建物断面形状を検討す
     るのです。

 

 

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  内包する中庭に向かって、内側に開放するから、 
  外側は外壁が防犯ラインを兼ねた存在となって
  います。その結果、こんなにシンプルな外観が
  現れました。

 

 

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     ダイニングやリビングとキッチンを隔てるカウンターは、手元が
     見えない程度の高さとしました。レンジフードもセミオーダーの
     製品を使用し、白くシンプルで明快な意匠を徹底しています。 

 

 

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     長ーいデスクを家族でシェアするスタディールーム。使い勝手が
     よいということはもちろん、周りへの気遣いの心も育んでくれる
     気がしませんか?

 

 

kuki12   寝間は、ひとつから始めます。時間と共に緩や   
  かに変化をしていく関係に合わせて、仕切りを  
  設けたり、また取り去ったり。シンプルな間取
  りの持つ大きな特徴のひとつが、この柔らかな  
  包容力でしょう。

 

 

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     ご主人のスケッチを形に仕上げたバスルーム。閉じた家だからこそ
     できる開放感。南庭に見えるハイノキは、ご主人と共に畑まで選び
     に行った思い入れのある樹。じつはこの家の樹々のすべて、直に畑
     で選んできたもの。

 

 

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     和室には、間仕切ることで客間として機能するように、引込みの    
     障子を仕込みました。外壁側に設けた地窓が、この家の中で唯一
     オリエンタルな落ち着つきを醸しています。隣家の視界から隔て
     られているためか、安心感があることにも、ふと気づきます。

 

 

 

 

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竣工:2013年  延床面積:116.14㎡(木造SE構法1F)
設計:基本設計/半田宜之(住まい手) 実施設計/田村貴彦(カサボン)
施工:株式会社 参創ハウテック
撮影:大槻夏路 半田宜之
スケッチ:半田宜之

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